マレーシア移住のわけ

日本の富裕層がシンガポールに移住するケースは増えているけれど、あるお金持ちのIT社長は家族4人でマレーシアに移住を決めている。実際は昨年中に移り住む予定だったが、コロナ禍で延期になっているのだ。 もともと奥様はヨーロッパや米国暮らしがあってアジアは未経験。彼の「マレーシア移住」という得体の知れない話に極めて消極的だった。駐在員でも奥さんが「汚いところは嫌」という理由で単身赴任している旦那は多い。彼の奥様もギリギリシンガポールというところまでは気持ちを寄せてきてはいたらしいのだが(シンガポールはキレイだからね)、このIT社長は世界中を飛び回っていて、またシンガポール居住経験もあり、 「シンガポール移住は事情をよく知らない人のすること。自分は絶対クアラルンプールだ」 と決心は固い。 論理的な筋道でマレーシアの良さを他国と比較して説得するのは難しいと判断した彼は、本能的、感情的論点に切り替えた。 「オレは世界中を回り、世界中の美味しいものをあまねく食べてきたのは知ってるよね。そのオレが、世界中どこにもこれほど美味いものはないと保証する料理がKLにはあるんだよ」「え、そうなの?なんなのそれ?」(奥様乗ってきた)「PJにある名物、エビ焼きそばだよ。あれを上回る料理は世界中どこにもない!」 すごい説得の仕方だな、と思ったけれど、奥様の回答は 「乗った!」