嬉しかった彼の姿

マレーシア滞在中、14、5年ぶりに昔の事業パートナー、ローレンスと会った。あの頃、ローレンスの方からパートナーシップを解消したいと申し出があって、グループ会社を分けてそれぞれが別の会社を経営してきた。ローレンスとは同い年だから、今年66歳になる。久しぶりに会うのはいいけれど、 「もう引退したよ。まあまあ余生を暮らせるくらいの金はできたし、のんびり暮らすんだ」 なんて話を聞くのは気が進まないなぁ、と思ったが、彼はオイラを見ると、「体型は変わらないが、顔が少し痩せたな」とひと言言っただけで、おもむろにノートPCを開け、 「Jun、お前と一緒にやりたい新しい事業のアイディアが5つあるんだ」 と言った。自作のパワーポイントスライドや動画を使いながら、オイラにプレゼンを始めた。どのアイディアもローレンスらしく面白かったが、実はそれよりもこの15年間にも触れず、世間話もなく、「これから立ち上げる」事業を熱く語る彼の姿に感動していたのだ。それはまさに33歳の頃の我々の姿だった。 オイラも最近は目の前の事業を膨らませることに集中していて、「一から立ち上げる新しいビジネスアイディア」なんか持っていなかった。この年齢から「新規事業?」という気後れが自分の目を背けさせてきたのかも知れない。 そうだ、まだまだ挑戦を続ければいいんだ。