一転。

今日は、何もかもが素晴らしかったカステロブオーノを後にして、シチリア第2の都市、カターニアに向かった。この地で夜着のフライトで日本からやってくる義姉と合流する。
ひと足さきにカターニアの宿にチェックインしようと車を飛ばしてきたが、アパートの住人から

「ここは宿じゃない」

と言われ、オーナーを探していたら、胡散臭そうなイタリヤ男が

「ここは1年前に住居になってる。予約なんか受けてないし、Agodaなんか知らない」

とけんもほろろ。
いやいやいやいや、予約確認書も届いているし、クレジットカード決済も終わっている。

「そんなこと言われても知らない」

じゃあ、とスタスタとどこかへ行ってしまった。
カターニアでいきなり家なき子になってしまった。
すぐにAgodaのカスタマーサービスに苦情を送信し、代わりの宿をBooking.comで探す。
当日に駐車場有の物件を探すのはほんとに苦労したが、なんとか確保。
日本からやってきた義姉を車中泊でお迎えしなくて済んだ。

Agodaは、苦情をもとにすぐに事態を確認したらしく「申し訳ありません、返金します」と返ってきたが、亡くなった宿は戻ってこない。

「どうしてこんなことが起こったのか理由を説明して欲しい」

と返したら、

「契約している代理店の確認不足でした。申し訳ありません。今後は宿にも直接連絡して確認することをお勧めします」

それ、お前じゃなくて、オイラがやるんか、おい。
じゃあ、予約サイト使う意味ねーぞ。ダメだな、Agoda。

しかし、悲劇はここで終わらなかった。

車で確保した宿に向かう途中、地元のマフィアというかチンピラに絡まれて車内にあった貴重品バッグとスマホを奪われてしまった。

すぐに追いかけ、返せ、返せ、と揉み合っていたら、他のチンピラも5、6人オイラを取り囲むように威嚇してきたので、

「こりゃ、本格的にヤバいことになっちまったな」

とぐったりした気持ちになった。
揉み合いや罵声の中で、それでもオイラはバッグとスマホを死に物狂いで奪い返した。
その間、車は車道のど真ん中にあり、他の車の通行もできず、路上は騒然としていたが、奪い返したものを抱えて車まで走って逃げ込むと、すぐにアクセルを踏んで走り出した。トム・クルーズ必死の逃走だ。

なんなんだ、カターニア。なんなんだ、カターニア人。
オイラもカミさんもすっかりカターニアが大嫌いになった。
気持ちはこのまますぐに次の目的地タオルミーナまで行きたかったが、義姉は夜カターニアにやってくるのでここを離れてしまうわけにはいかない。

とりあえず確保したアパートにチェックイン。
ちょっと落ち着いたら朝カステロブオーノでリコッタチーズクリームのドーナツを食べて以来何も腹に入れてないこともあり無性に腹が減ってきた。
遅いランチをしようかと車で街中を走ったが、クリスマス当日は全く店が開いていない。

なんてクリスマスだ!

我慢して帰路に着いたところで、道端のサンドイッチ屋が1軒営業しているのが目に入り、すぐに停めて買うことにした。

もうなんだか、どうでもいい、なんでもありだ!という気持ちを代弁するようなサンドイッチがメニューの中にあったので、オイラは即決した。

「ドナルド・トランプバーガー」

そう、もう、なんでもあり。

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