以前申し込んだゴッドファーザーロケ地巡りツアーがキャンセルになったのは、パート1、2、3全てに登場する最も重要な舞台「スキアーヴィ城」が閉まっているからという理由だった。
また、この城はイタリア貴族の男爵が所有していて、特別な契約を交わしたツアー業者とそのツアー客しか入城できない。
ということで前回の自力ロケ地巡りでは断念した。

映画の重要な舞台、スキアーヴィ城
2泊したタオルミーナから今日向かう次の目的地ラグーザへの道がスキアーヴィ城の近くを通ることに思い当たり、途中寄ってみることにした。
閉まっていたら仕方がないけど、もし開いていれば入城は叶わなくても門の外からその姿を拝むことができるかも知れないと期待したからだ。
スキアーヴィ城に着いたのが朝9時30分。
鉄の門扉は固く閉められ、その外観を伺うことすらできなかった。
でも、もしかしたら10時に門が開くかも知れない(笑)。未練がましいのだ。
もしかしたらのひょっとしてに期待して、近くのカフェで朝飯を食べながらちょっと待つことにした。
10時10分くらいに再び訪れてみると、駐車場と思しき鉄扉が開いていた。
「あ!なんか開いてる!」
とそこに車を滑り込ませる。
そこが駐車場なのかどうかわからないが、そこにひとりの老人がいて、いきなり入ってきた我々に
「おいおい、なんだあなたたちは」
という顔をして近づいてきた。
オイラは、トトの時の決めゼリフ
「私たちは、スキアーヴィ城を見に日本からやってきました」
とそれだけ覚えたイタリア語のフレーズを叫んだ。
老人は車窓からこちらを覗き込みながらもその言葉に少し驚いて、そして少し警戒を解いたようだった。
「じゃあ、降りておいで」
この老人は誰なのだろう? 駐車場の管理人?
それともまさか姿を現すことはないと言われる貴族の男爵じゃないだろうか?
その時の動画がこれだ。
途中でカミさんが「あなたは男爵ですか?」と翻訳アプリで訊いている(笑)。
そして、まさかの男爵様だったのだ。
彼は、我々を城内まで引き入れ、なんと男爵自ら場内の全てを解説しながら案内してくれたのだ。

そして、自室内の資料も一つ一つ丁寧に説明してくれた。

もちろんこの由緒ある城の歴史からゴッドファーザーの撮影話、アル・パチーノ、ロバート・デニーロ、ルッコラ監督たちとの思い出まで。我々はもう「わー」とか「えー」とか「ひー」とか歓声を上げるばかり、舞い上がるばかり。
スキアーヴィ城の外観

映画と現在のスキアーヴィ城の門


バルコニーのマイケルとオイラ


マイケルを裏切って新婚の花嫁を爆死させた用心棒とオイラ(体の向きw)


パート3の最後、マイケルが亡くなるシーンで使われた椅子はそのまま残っていた。


城の庭に降りてきたマイケルとオイラ。


・・・なんてことに貴族の男爵様はずーっと付き合ってくれた。
幻の男爵に遭遇し、城の案内や説明までしてもらい、様々な撮影シーンの一コマに想いを馳せながら感激の時間を過ごした。

ありがとう、男爵。
