サイゴン夜の狂想曲
Name: 朝田 光 (2003年12月2日)
Date: 03年12月02日 18時11分06秒
昨日に続いて時事ネタ。こちらはローカルネタで昨日ほど熱く語らなくて済む。
この間の日曜日SEA GAMEの一環としてサッカーの試合があった。ベトナム対タイである。ASEANの中ではインドネシア、マレーシア、シンガポールと並んでタイはサッカーの強い国である。最近タイのプロリーグもしっかりしてきているせいか、ASEANの中でも一番強いと目される国でもある。その国のナショナルチームとベトナムのナショナルチームが激突したわけである。当初から引き分ければ御の字とベトナム人でさえ言っていた試合だが、ふたを開けてみると結構白熱した好ゲームとなった。私はたまたまこの試合をビアホールでベトナムスタッフと見ていたが、彼らの興奮は想像を超えてすさまじいものでもあった。
試合の展開はまず前半にほぼカウンター攻撃のようにしてこぼれ球を拾ったベトナム選手がそのまま持ち込みゴール。このまま前半は終了し、後半でベトナム選手がペナルティーを犯しタイ選手がペナルティーシュートをバナナシュートでそのままゴール。結局1対1の引き分けで終了した。この間、テレビを観戦しているベトナム人は自軍がボールを取ったといっては総立ちになり、危機に陥るとテレビに向かってあらん限りの声で叫ぶ。もしスタンドで観戦していたら多分この数倍の興奮に包まれてしまったであろう。ベトナム人は普段それほど叫ぶということは無いように思えるのだけど、事サッカーとなるとがらりと変ってしまう。応援の迫力が日本と全く違うのである。

ベトナム語には日本語には訳せない良く使われる言葉がある。「チョイオーイ」である。これは語学の辞書などに意味の説明が出ているだろうが、簡単に言ってしまうと「困ったとき」「驚いたとき」「頭にきたとき」「がっかりしたとき」などに使われる感嘆詞で、日常会話にしばしば登場する。この「チョイオーイ」がこのサッカーゲームで遺憾なく使用された。ベトナム選手のシュートが外れると「チョイオーイ」ボールをとられると「チョイオーイ」。「チョイオーイ」のオンパレードでもあった。
最後引き分けになってベトナム人に惜しい試合を逃したねと聞いてみたら「最初から1対1を予想していた。勝てば儲け物。1対1位が今後の展開の上で丁度いい」と答えられた。いつまでたっても強気のベトナム人であった。
その夜、以前からレポートしているように「引き分け」にもかかわらず街中にバイクが溢れまるで「凱旋パレード」の様相を呈した。後日日本大使館から注意情報も出され、曰く「ベトナムチームの対戦が予定されている試合日には、多数のバイクによる交通混雑が発生すること及び交通混雑に乗じた犯罪が予想されることを念頭に置き、混雑が予想される日には外出を避けるよう注意するほか、外出の際には混雑に巻き込まれないよう、周囲の状況に注意を払う等、安全確保に十分注意を払ってください。」と連絡を受けた。
事程左様に街中気が狂うのである。今回は主要メインストリートを警察がしっかり押さえたためそれほど大きな混乱はなかったと聞くが、私がビアホールから帰る間も、鉢巻をしてベトナムの大きな国旗を後部座席で翻しているバイクに何回もあった。見てくれはこれでは日本の暴走族である。この混乱は日曜日と言うこともあって11時には収まったようだが、インドネシア戦や準決勝、決勝が続くと今後どうなっちゃうんだろうと頭を抱える毎日である。