ファミリー互助会
Name: 朝田 光 (2002年9月5日)
Date: 02年9月05日 12時04分01秒
日本で中国産野菜の高濃度農薬についてここ数ヶ月報じられている。また日本の農家でも禁止されている農薬を使用したとか、色々な不祥事が次々と明るみに出ているようだ。
ベトナムも先月来、ハノイで農薬中毒にかかった消費者が病院で手当てを受けるなど、結構この話題で持ちきりになっている。真相は良く分からないが、中国産のりんごや梨などは危ないらしいと噂で聞いた。中国からベトナムに来るときに防腐剤を注射で一個一個に注入していると言う噂である。
このためか果物の値段が低迷している。低迷していると言うのは消費者にとっては良いことだが農民にとっては苦しい生活が強いられる。日本では余りなじみが無いかもしれないがロウガン、またはロンガンと呼ばれる果物は今では1kg25円程度で路上で販売されているし、ランブータンにいたっては1kg15円程度まで下がる。これが小売の価格なのだから農民の収入は押して知るべしであろう。ベトナム流に言うと「浮き草みたいに安い」という風にいわれている。
今回はこの農民の話である。
こんなに果物や農作物が低迷し、さらに農薬被害のニュースが全土を駆け巡るとそれなりに農民にもインパクトが出てくる。年間収入が一家で500ドル以下という農民も数多くいると聞く。メコンデルタに行っても、またちょっとした地方に行っても一家総出で草取りをしたり、水牛を幼い子供が扱っていたりと、ここの農業はファミリービジネスである。このためベトナムの農家の家族は大きい。ベトナム自体が一家2人子政策を採り、家族4人を奨励しているが中国ほどの締め付けも無く、さらにこの労働環境、ちょっと下品になるが、娯楽の源さえない地方農村地帯では家族が大きくなることが必然ともいえる。ちょっと余談になるが、これだけ家族が増えると名前をつけるのも大変で、ついこの間まで農村では名前が数字の人が多かった。つまり長男は「一」次男は「二」このままである。だから名前が同じ人が多くいたので、昔の日本と同じように何とか村の「一」さんという呼び方が今でもある。

さて、こんな田舎暮らしから抜け出し都会で暮らしたいという若者がもちろん増えつつある。このためサイゴンの人口は増え続けている。彼らは工員をしたり場合によっては物乞いさえしたりして都会暮らしを続ける。ただ学歴社会のこの国ではやはりそんな中でも親は大学に子供を行かせたい。ベトナムでも同じようなことを聞いたが、この場合のフィリピンでの対処法をお教えしよう。フィリピンの農民も貧しく、また学歴社会のため高収入を得るためには大学卒の身分が必要となる。幸いフィリピンは大学がたくさんあるので、金さえあれば何とか大学に入学させることは出来る。そこで、フィリピン人は親戚を集めてファミリー会議を行う。親戚中の子供を見比べて一番頭の良い子を選抜するのだ。そして選ばれた子は親戚中の全精力をかけて大学に送り出す。そしてその子が立派に大学を卒業し就職すると、こんどはこの高収入を手がかりに自分たちの孫を選抜する。この方法で一家を繁栄させようとする。ただ、一家総出で一人の子をサポートしても限界がある。このため、フィリピンの東大といわれているフィリピン大学の学生でさえ夜のアルバイトで自分の学資を稼がなければならないことが多い。それでも親戚一同の威信が彼または彼女にかかっているわけでそのプレッシャーは限りなく重い。最近アルゼンチンの女性が家を青森県のために家を競売に出されたとか、そういうニュースも日本で報道されているが、フィリピンでは同じケースでも彼女のバックには親戚一同の進退さえかかっている。並大抵の根性ではない。
ベトナムも基本的には同じ考え方をする。しかしフィリピンほど学費も高くないので、そこまでの一家総出サポートは発生していないのであろう。フィリピンに比べてプレッシャーは少ないものの、やはり農民出の子供たちが受ける期待は日本で考えるよりはるかに大きい。ここがもしかして日本と決定的に違う点かもしれない。