夏過ぎ行く
Name: 虎清水権造 (2004年8月22日)
Date: 04年8月22日 16時55分10秒
日本に帰ってきて仕事に慣れ始めたら、とたんに私らしく自分の席にほとんどいない生活がまた始まった。今回は飛行機に乗るわけでも車で長時間走り回るわけでもなく、新宿、厚木、小田原とほぼ小田急線を駆けずり回っていると言った方がわかりやすいだろう。
最近はお盆休みと学生の夏休みのおかげで随分小田急線も座りやすくなったが、今週の後半あたりから少し込み始めた。サラリーマンの夏休みのピークが終わったなと言う感じでもある。
昔は通勤の間ハードブックの本をむさぼり読むように読んでいたが、歳のせいかあるいは駐在帰りのせいか、ひたすら眠るようになってしまった。どうも本を読むまでの元気が沸かない。それでも体にはしっかりと習慣だけが残っていて、面白そうな本だけは買ってしまう。困ったものだ。
色々な点において日本は進んでいて驚かされることが多い。本ひとつとってもインターネットで注文すれば近くのコンビニまで届けてくれる。コトラーのマーケッティングの本など本屋では探すのが大変なときもあり、また大手の本屋で無いと売っていないことがあるので便利なシステムで感心してしまう。私の本はどうも昔受けたMBAの影響からかついこのようなアカデミックな本を読みたいという衝動が多く、探すのに苦労してしまう。まあコトラーは有名だからそれほど難しくは無いが、趣味の一環である生物学の本は苦労していたことが多い。「フィンチの嘴」やら「ダーウイン本」など苦労して手にした覚えがある。

本だけではない。携帯電話の便利さには舌を巻いてしまう。ベトナムではPCでインターネットに接続するのも大変な思いをしたのに、日本の最近のサイトは携帯用に作られているところが多い。驚いたことにJalanJalanも気がつけば携帯サイトがある。これまたびっくり。さらに携帯でYahooのEmailが取れる。もちろん写真など大きなものは取れないが、普通のメールであればほぼ完璧に読めてしまう。もちろんPCを持っていないと不便なことは多いが、ちょっとしたことであれば携帯ひとつで仕事ができてしまう時代になってきたのだ。こんな話をしたら「おじさん、情報が古いよ」と言われてしまうかもしれないが、アジアに7年間過ごした浦島太郎にとって、こんなもうすでに一般的になっていることでさえ驚きの連続でもある。
携帯電話自体に、Email アドレスを持っていることも実は驚きであった。そこからさらに写メールを送れるなど、多分ベトナム人には理解できないだろう。
夏は過ぎ行く。
もう人生の半分を過ぎてしまった中年にとって、新しいことを学ぼうとする意識は薄れつつあるのかもしれない。古ぼけたジャケットで葉巻をくゆらせながらホテルのバーカウンターで飲むと言うのも、自己満足になってしまったのかもしれない。この間も新宿京王プラザホテルのバーカウンターで一人2時間ほどバーボンを飲んでしまったが、どうも居心地が良くない。確かに洗練されたバーテンダーはこちらの邪魔にならないように新しいバーボンを次々と作ってはくれるが、アジアで生活した人間にとって、この機械的な冷たすぎるサービスはどうも心に小波を起こしてしまう。
昔のホテルオオクラ、ハイランダーではそれでも粋な会話がバーテンダーとあったような気がする。
夏は過ぎ行く。
新しい技術と昔への旅愁、これはいつまでも平行線であって、決して交わることが無いのかもしれない。