今まで話せなかったベトナムのこと4

Name: 虎清水権造 (2004年5月27日)

Date: 04年5月27日 00時21分46秒

選挙の話をしよう。何年かに一回ベトナムにも国政選挙がある。国の共産党大会にあわせて代議員を決めるのだ。これが南ベトナム人を一挙にしらけさせる。
まず選挙に立候補するには共産党配下の選挙管理委員会で審査が行われる。この審査内容の中に思想に関する項目がある。これでは現体制に批判的な人たちは立候補することはできない。表向きは共産党員でなくても立候補することができるし、現に何人かの代議員は共産党員ではない。しかし党員ではないことと野党になるということはイコールではない。まあ強いて言えば「お手盛り議会」となるのは間違いない。
こんな感じだから特に南ベトナムの人たちは選挙に興味を持っていない。だれに入れても結果は同じなのだ。現体制は選挙では揺るがないのだ。
それでもベトナムの選挙での投票率は95%を超える。
こんなしらけた選挙であれ隣組の締め付けは厳しいから、誰でもいいから投票してしまえという雰囲気となる。これが南ベトナムに漂う政府に対しての異様な関心の無さに繋がっている。
もちろんこんな選挙だから選挙期間中に選挙運動をすることは無い。テレビでちょっと演説が聴けるくらいで、後は新聞にプロフィールが載る程度である。だからよく注意していないと国政選挙が行われているかどうかなどわからない時が多い。



政府について言うと南ベトナム人は政府にほとんど関心が無いといっても良い。はっきり言えば政府によって南ベトナム人が明確に差別されているからだ。例えば南ベトナム人が官公庁に勤めようと思っていても、親戚で一人でもボートピープルの人たちがいれば、役職につくことはできない。また警察官になることもできない。と言うわけでもないが、南ベトナム人が官公庁に勤めている人は珍しい。これはベトナム航空のスチュワーデスでも言える。スチュワーデスは厳格に審査される。各地の飛行場で逃げられては困るのだ。だからスチュワーデスのほとんどと言って言いが、官公庁の重要ポストを占めている家族の一員がなっている。
それでは北ベトナム人にとってベトナムは天国か。いやそうでもない。もちろんサイゴンの方が経済的に発展しているし仕事も多い。ハノイからサイゴンへ働きに来る人は年々増えている。しかし官公庁系の話の中でも北ベトナム人にとっても不満が大きい。
かのベトナム戦争で、前線で勇敢に戦った歩兵がやっとの思いで勝利をものにし、勲章もたくさんもらった。しかし数年経ってみると愕然とする。自分たちが命を引き換えに勇敢に戦ったのにもかかわらず、平和になれば職もなく結局シクロの運転手になっている。それに引き換え後方基地で多くの兵士に守られ作戦を練っていた高級将校は気がついたら政府の高官になっている。どうも一兵卒にすればあまりにも不公平な人生だと嘆くのは良く分かる気がする。
これだけ不満があるから、それでは政治的に安定していないかというとそうではない。はっきり言えば政治にはうんざりして全く期待をしていない。それよりも自分たちの幸福を考えようとしている。
さらにはっきり言えば賄賂でなんとでもなる現政権は彼らの商売にとって有利になっていることもある。





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