楽あれば苦あり
Name: 虎清水権造 (2005年10月14日)
Date: 05年10月14日 14時13分36秒
その時は幸福感など何もなかった。ただなんとなくベッドに転がってNHKを見ていただけだ。ほかには何もない。サイゴンのアパートはメインストリートに面しているので窓は全て2重サッシになっている。外からの声は聞こえない。と言うことは中からの声も聞こえることはない。
けだるい土曜日の昼下がり、ゴルフに行くでもなくなんとなくアパートでごろごろしていた。日本で買ってきた本も残り少なくこれ以上読んでしまうのは危険水域だ。NHKもすでに飽きた。なんとなく誰かに会いたくなって携帯の電話帳をパラパラとめくる。
昨日夜10時ごろアパートに帰るとエレベーターホールに響き渡る「あのときの声」。隣のアメリカ大使館夫婦が夜の営みを始めたようだ。欧米人の派手なジェスチャー、いやいや響き渡る声に辟易としながら飛び込むように自室に飛び込んだ。まるで陳腐なポルノのような音響。それが頭に残っていたのかもしれない。
会うのは誰でも良かった。誰かと話がしたかった。考えてみれば昨日夜10時に家に帰ってから誰とも話をしていない。独り言の山だ。日本語だろうがベトナム語だろうが英語だろうがどうでも良かった。誰かと話したい。気がついたら電話をかけていた。

彼女は音もなくやってきた。確かに玄関のドアは開けておいたが、まるで私がどこに隠れているのか前もって分かっていたかのように猫のようにしなやかにやってきた。それでよかったのかもしれない。私はまどろんでいたからだ。彼女が寝室に入ってきたのを覚えていない。薄目を開けたらベッドの端に腰をかけていた。
「やあ」それだけの会話で猫はいきなり動いた。すでに獲物はくわえられている。その素早さにむしろ安堵感を得る。どうも私は彼女を支配するのが好きなようだ。
彼女が服を脱ぐのは気に入らない。さばさばと脱いでしまってどうも雰囲気がない。彼女は猫だ。動物のようだ。ご自慢のTバックであれ可愛いブラジャーであれ、鑑賞する暇もなくあっという間だ。
ベトナム人はだいたいにおいてスタイルが良い。特にサイゴンは南部独特の胸が大きく、腰がくびれて、決して太ってはいない。彼女の裸体がそれを証明している。その完璧性がかえって気に入らない。
獲物を加えている間、彼女のたわわな乳房をひねり上げてみた。どうも癪に障る。小太りの中年が相手にするには完璧すぎる。彼女は猫のようにうなりながら、そのお仕置きを逆に楽しんでいる。タフな女だ。
やがて上に上にと獲物をなめ上げる。かえって私は何もしない。それが彼女と私とのルールだ。彼女は待っている。待ち望んでいるがすぐに御褒美をあげるようなことはしない。どうしても支配したいという感覚が強い。猫は我慢できず私の乳首を噛み上げる。そんな反抗にはますます焦らしてしまうのが一番だ。
お尻をさらさらと触るような振りをしてスパンキングを2〜3発。それでもうれしそうな猫。どうも最後には猫に食べられてしまうかもしれない。
この項 気が向いたら続く