ギャレーの呟き
by KEI
(第6回)
料理が大の苦手。まったくもってダメ。まあ、親子丼くらいなら作れなくもないけど、それにお味噌汁とサラダ(ただ生野菜切っただけの)を付けようとすると、出来上がるまでに3時間はかかる。私が料理している姿を見た友達は「何だか料理してるっていうよりは、工作とか制作って言葉の方が合ってるね」とよく言う。一生懸命作るという意味では、制作の方がよっぽどハイレベルな語感だわ!とポジティブに考えることにしている。
スチュワーデスのイメージを保つために、これだけは言うのやめとこう・・・と思ったのだけど、ま、私だけ例外ということで、今回はそんなお料理ダメスチュワーデスの悲しいお話。
もともと私は「実行に移さない完璧主義者(理屈やさんと言うこともできるね)」なので、料理の味付けのように曖昧でハッキリ決まっていないものはキライなのだ。だからお料理の本も大ッキライ。だいたいあの、適宜とか少々とか化学の世界じゃ絶対に許されない分量の記し方で、公の出版物としてまかり通ってるからひどい。そっちはわかった気でいるかも知れないけど、完ペキ主義者の私としてはどのくらい入れていいもんだか困るじゃないか(応用きかないとも言えるね)! それだけではない、レシピ本読んでるだけで出てくる出てくる文句の数々。どーして言われたとーりに作ってんのに写真と同じになんないのよ、あんたっ! しかも言われたとーりの分量で作ってたらあめ色になる前に焦げちゃうじゃないのよ、なべの大きさもちゃんと言ってよね、ぷんぷん! それに蒸し器、マッシャー、ブレンダー・・・一体独り暮らしの私にどんだけ調理器具揃えろってのよ! 材料だって豆ばんじゃん、サルサソース、ハーブスパイスetc・・・一回使ったらどうしろってぇのよ、でっかいひとビン!!
・・・・・・結構レシピ本持っているね、キミ。
学生の頃も独り暮らしで自炊していたのだけど、その頃の方がなんだか初めてのひとり暮らし。っていうんで喜んでましなもの作ってたと思う。でも独り暮らし2回目の今は学生の頃と違ってお給料はもらっているし、なんてったって住んでるところがマレーシアなのだ、マレーシア。ファミレス行くくらいのお金があれば、ボリュームがあってバラエティーに富んだ美味しいものがあふれてる。こんな恵まれた環境にいるんだから、これでフライトの合間に肉や野菜を買い込んでお粗末なおかず2品くらいを毎回2〜3時間かけて作り、ロングフライトに行くのではやく使い切らなきゃ!とあわててピーマンのやけに多いディナーを無理矢理食べてちゃー、おてんと様にバチが当たるってもんでしょう。
こんな私だが、新しい彼ができる度に一応は手料理を作る。とりあえず、ね。でも未だかって「君の作った○○がまた食べたいなぁ」と言われたことはない。それならその方が楽でいいんだけど、何か毎回フラれっぱなしなのはやっぱりこのせい? 反省して習おうと思ったことはある。だけどそもそもマレーシアに「お料理教室」的なものがほとんどないのだ。やはりマレーシアの人もお金をかけてわざわざ料理を習いに行くよりは、外で安くて美味しいものをいっぱい食べた方が・・・って考えてるんじゃないかな?
てなワケで、普段KLでOFFの日は外食ばかりなのだけど、どうしても家で食べなければらない時はどーするか。そんな私の強い味方がスパゲティー&スパゲティーソース、ごはん&ふりかけ。たまにスパゲティー&ふりかけというパターンもある。これを男の友人に話したら「それって僕の大学生時代の食生活と同じレベル」と言われてしまった。たしかにー。器用な大学生の方がもっとましなもの作ってるに違いない。
しかし!これで驚いてはいけない。ふりかけもない時は、キムチの素を入れて「キムチスープスパ」、トムヤムペーストを入れて「トムヤムスープスパ(これはイケてなかった。じゃ、じゃーキムチの方はイケているのか、おい)」などという、人様には恥ずかしくてとっても言えないようなものを食べたりもする。
これを読んでるよいこの皆さんは、危険ですからずぇーったいにマネしないでね。
(第5回)
夢をよく見る。眠ってる時に見る夢のことなんだけど、見た夢は毎回必ずと言っていいくらい覚えている。ストーリーはもちろんのこと、その時の気温、周囲の物の色、匂いや食べた物の味、はたまた外貨の換算レート等々、事細かに覚えているのでいっつもちゃんと眠れてるんだろうか・・・と心配になる。しかも毎日おおよそ3本立てで、続き物になってたり、後日談みたいに時間の経過のつじつまがあっていて我ながら芸が細かいなーと思う。夢以外のことでこれだけの記憶力が発揮できればいいのに、残念ながら物覚えは決していいほうではない。
夢はもちろん日本語でよく見るのだけど、仕事の夢は英語で、あと拙いマレー語で必死に何かを伝えようとしてる途中で目が覚めてほっとしたことも。一番よく見るのはやっぱり仕事の夢かな? 私の職場って寝坊をしたら待ってくれずにどっかに飛び去ってしまうので、遅れないようにって緊張して寝るとたいてい仕事の夢になる。その時一番気にかかっていることをダイレクトに反映してしまうのが私の夢の特徴なのだ。長時間フライトの仮眠中に次のミールサービスの夢を見て、覚めてから「えー、また初めからぁー?」と、ちょっぴり損した気分になったりもする。これは冬の朝とかに、身支度を完璧に終えた夢を見て覚めたときと同じ感覚ね。
ところで自分の夢で発見したものがある。それはあまりにも単純で凝り固まった世界観。中国に行った夢では、駅の構内に子パンダを抱っこした人がいっぱい歩いてたり(ちなみにその人達とは筆談しました)、エジプトには砂漠とピラミッドしかなかったり、モスクワのパブであまりに寒いんでウォッカを頼んで一気飲みし「全然酔わないー!」と喜んでたり(私、お酒弱いもんで)・・・。起きてから、そりゃないでしょー、これでも一応、国際線スチュワーデスのはしくれなんだから、と情けなくなってしまう。でも行ったことのない国なんだもの、しょうがないよね?
行ったことのない国と言えば、本題の夢の話から外れてしまうのだけど、マレーシア空港がメキシコに就航したばかりの頃のロス〜メキシコ便に乗務したときのこと(残念ながら現在この路線はもうなくなりました)。乗務するに当たって「メキシコってどんな国なんだろう?お客様みんなポンチョ着てるのかなー、でも全員ソンブレロかぶって入ってきたら大迷惑だーなぁ!その時は<ソンブレロはお控えくださいませ>のアナウンスしなきゃかしら?」等と相変らず凝り固まったメキシコ観でドキドキワクワクしながら飛行機に乗り込んだ。さすがに残念ながら(?)そういう出で立ちのお客様には出会えなかったけれど、ドリンクカートにはコロナビール、ミールのチョイスにはタコスと、MASのメキシコ観もナイス!と大喜びでフライトしたのを覚えている。だけどよくよく考えると、日本路線にだってそばや寿司に日本のビールが搭載されるのだから、お国の名物がその路線に顕れるのは当たり前か。結局メキシコステイを終えたクルー達の方が、大きなソンブレロを各々土産に機内に持ち込んで大迷惑なのだった。さて、実際に行ったメキシコの感想は?というと「あれっ?人といい街といい、なんだかちょっとマレーシアに似たとこない?」(これを言ってマレーシア人クルーに「マレーシアの方が断然都会だよ!」と怒られた。あくまでもプライドを持ってるらしい。私にとってはホントにちょっと似てると思ったんだけど・・・) それにポンチョとソンブレロとサボテンとテキーラの国って言うのも、大げさではなくって本当にそうなんだから、私の世界観もまんざらでもなさそうだ(いやいや誰も中国でパンダ抱いて歩かないって)。
さあ、今日はどんな夢見るんだろう? 毎日映画を見るような感じで結構楽しめる。たまに頼んでもないのにホラーだったりするけど・・・。
(第4回)
ヤモリがコワイ。と言うと、日本に住んでいらっしゃる方にはピンと来ないかも知れない。ヤモリと言ったら、夏の家の窓の外とかにはり付いて明かりに寄ってくる虫を食べてるだけの、あの小さい生き物だ。家の中にいてくつろいでいる限り、コワイというほども見かけないだろうに、と思われるだろう。しかし!マレーシアのヤモリはちょっと違う。何しろ家の中に出没するのだ。部屋の中の明かりに寄る虫を求めてずかずかと侵入して来ては、厚かましくも住みつき、あちこち構わず糞を残し、夜中に突然カカカカッと鳴く不気味な奴なのだ。しかも日本のよりひと回りデカイ。おまけにここは一年中夏なので「夏だけ我慢しましょう」というワケにもいかない。
マレーシアの家は、通気を良くするためにわざと隙間だらけに作る。私の住んでいるコンドミニアムも、玄関のドアからして下に2cmの隙間があり、ヤモリに「どうぞお入りください」と言ってるようなものなのだ。おかげで私のキッチンの棚には、物が何も置かれていない。真夜中の訪問者が何処こことなくはい回っていると思うと、日本のようにおたまなんかをおちおち壁に掛けてもいられない。洗ったグラスなど一晩おいて乾かしているが、これももしかしたら「知らぬが仏」状態なのかも知れない。
もちろん、奴等を野放しにしているワケではない。部屋の四方八方に、魔除けのように張り巡らしたゴキブリホイホイ。よく出る天井付近にも念入りにセロテープで貼り付ける(知らない人が遊びに来ると「あんな高いところにもゴキブリが出るの?」とよく聞かれる)。これが結構よく捕れる。ヤモリは決まって、狭くて暗い場所に逃げ隠れようとするから、ゴキブリホイホイの形状は実に都合がよい。でも、捕っても捕っても新入りが次から次に後を絶たないんだけど。
この話をすると、マレーシア人の友人達は決まって「なんてムゴイ!ヤモリは蚊を食べてくれるいいヤツなのに」と言う。私にとっては、一晩かけて小虫数匹食べてもらうより、いてくれないほうがよっぽどいい。だいいち、爬虫類が家の中にいていいものだろうか? 爬虫類は「爬虫類展」でわざわざ入場料払って見るものだ。ゴキブリやネズミが家の中にいちゃいかんのと同じように、ヤモリもいかんのだ!!
ヤモリの話ついでに、KEIのマレーシア害虫観察日記(ヘンな話ばかりでゴメンナサイ)。
まずはアリ。先に述べたとおり、年中夏の気候なのでアリも年中活動している。そしてマンションの10階だろうが20階だろうが登っていき、やはり「住みつく」。正真正銘の雑食で、甘いものだけにたかるヤワではない。インスタントラーメンの袋に入られたこともあれば、うっかり洗い忘れた布巾に穴を開けられた事もある。
アリ退治にはアリの巣コロリだと思うのだけど、これがどーもマレーシアのアリには通用しない。冬が来ないせいか「貯える」気があまりないらしい。幼子と女王様に持ち帰れば充分なのだろう、食べ物を見つけるとまずは第一発見者が、気が済むまでたらふく食べる。これがいけない。小さいサイズのアリなどは、巣に帰るどころか、エサの回りで力尽きてしまう。これじゃあアリの巣・・・ではなくアリコロリなのだ。しかも死ぬ前に「警戒フェロモン」らしきものを出すらしく、後から来るアリが寄り付かないので、最初の数匹のためのアリコロリなのだ。らちがあかない。それに、真冬の日本でアリの巣コロリを求めては変な顔されちゃうし。
アリの次は、おなじみゴキブリ。これはいっちゃんの住むコンドミニアムがすごい。築後けっこう経っているせいか、とにかくゴキブリが多いのだ。彼女の家に食べ物を置かなくても、上下両隣から排水口を伝って入ってくる。知らずに引っ越してきてしまった、可哀相ないっちゃん。彼女の一番苦手なものらしい。彼女が越してきてすぐの頃、ゴキブリホイホイを置いて一晩経ったのを拝見させてもらったことがあるのだが、ゴキブリホイホイのパッケージについた「こんなに捕れますよ」の写真よりもっとスゴかった。きっと捕れた数の倍以上のゴキブリが、くっついてる奴の上を素通りしていったことだろう。
ある晩のこと。彼女の家でテレビを見ていると、いっちゃんが台所から飛んできて「カップヌードルの中にゴキブリがいる!」 行ってみると、封も開けてないカップの中から確かにカサコソと音がする。更によく見るとカップの横にゴキブリ一匹通れるほどの小穴が開いている。真青になってるいっちゃん。ゴキブリは比較的平気な私なんだけど、ティッシュで穴をふさぎカップを持ち上げてゾゾーッと寒気が走った。・・・・・軽い。全くの空になっているのだった。ほんの数日間にフィルム包装までしてあるカップヌードルに穴を開け、人間の一食分を食べ尽くすという、想像を絶する貪欲さ。
さすが熱帯マレーシアの生き物たち・・・と、こんな動物の世界にまでカルチャーショックを受けてしまうのだった。
(第3回)
時代劇が好きで、よく観る。特にお気に入りなのは「暴れん坊将軍」で、これだけは月間予約録画をしてでも観る。時々野球が入ってたり、2時間もの「暴れん坊将軍スペシャル」が途中からしか入ってなかったりして、ショックを受けたりもする。が、めげずに予約録画。これを実家に帰ったときに、まとめて一気にがーっと見ると、スカーッとして実に気持がいい。同じ時代劇でも、続き物の長編大作は苦手。理由は簡単、スカーッとしないからである。やはり毎回完結、しかも正義が勝って一件落着、でないと。子供の頃好きだった仮面ライダーシリーズと共通するところがあって、あくまでも主人公がかっこよく勝てばいいのだ。
それにしても、あれだけよく「余の顔を見忘れたか」と言われて、はっと思い出すほど面識があり、江戸近辺に住んでるという悪行代官もいるものだ。そして誰一人ひれ伏さずに、戦いを挑んでは毎回負けるのである。
そこで自称暴れん坊将軍スペシャリストの私が紹介する、吉宗だと気付いた代官が戦闘に持ち込むための、お決まりパターン。
その1:「上様の名を語る不埒もの、出合え、出合えー!」のノーマルタイプ。
その2:「かくなる上は、、お出迎え致そう。」という丁寧なんだか無礼なんだかわかんないタイプ。
その3:「上様とて構わん。切れ、切り捨ていっ!」の超無茶苦茶タイプ。
これを順繰りに、シリーズごとに、10年以上も言ってるのである。見るほうも見るほうか。
さて、私の新人時代の話なのだが、マレーシアでの3か月間英語漬けの特訓も終わり、実家に戻って観たい放題時代劇を観た帰りのフライトで。食事サービスも終わり、ギャレーでやっと一息着いてたところにやってきた、大かんむりのお客様。満席のフライトで、喫煙席が取れなかったうえ、食後の一服を取る場所もなく、それはもうカンカン。「乗って来てから、今の今まで我慢しとるのがわかっとるのか!」 私もなだめるのに必死で、「それはもう重々存じております」というつもりが、頭を深々と下げながら出た言葉は、「存じておりまする!!」
・・・。しばらくの静寂の後、その方は、苦虫を潰したような変な面持ちで何も言わずにスーッと消えてしまわれたのだった。今でも忘れられないあの顔。眉をひゅっと下げ、哀れみにも似た目で、続けるはずだった文句を口の中でもごもごとかみ殺していたその顔には、「コイツにこれ以上、何を言ったって仕方ない。」とはっきり書かれていた。で、ギャレーに一人取り残された私は、他に聞いてた人もいないのに妙にバツが悪く、追っかけて行ってでももう少しまともに謝っておけばよかった、と思ったのだった。
時代劇の見過ぎにも気を付けなければいけない。
(第2回)
ずっと前のことなんだけど、KLのあるデパートでクラシック音楽のカセットを買った。ゆっくりお茶でも味わいながら、優雅にクラシック.....何て高尚な私なんでしょう、と半分自己満に浸り(たかだかテープ1本で)、すっかりその気になったところでPLAYボタンを押す。と、突然、ギューーン、ジャジャーーン!! とってもヘヴィーなサウンド。な、何? 何か違ってるみたいなんだけどこれってクラシックなの?! 慌ててラベルを見直すけど、そこにはショパンの名曲の数々?? 何が起こっているのか全く理解のできない私。「あれぇ、クラシックロックを買っちゃったのかなー。」
そうこうしているうちに前奏も終わり、シャウトが入り始めちゃった! びっくりしたらすぐにパニくってしまう私は、その時すでにパニックの頂点。
PLAYボタンを押した数十秒後に、たまたま家に遊びにきたデス友達が、私の取り乱し方を見てこれまたびっくり。ドアを開けるなり、「ギンギンのヘビメタが流れる部屋をカセットケースを握ったままぐるぐる回っている友達」(これは彼女から聞いたその時の私の状態)を見たら、そりゃ驚くかもね。
でも私の方はもっとたまげていたんだよ! だって、中身とケースが違っているんではなくて、カセット本体にショパンとプリントされているんだから。怪しげな露店ではなくて有名デパートで買ったのに。ほんとマレーシアって日本では普段起こらないようなことが平気で起こっちゃうのである。もういろんなことで驚いたつもりでいても、たまにこうやって抜き打ちで来るんだよなぁ。
そして翌日、別のお店に行き「中身がショパンだったら絶対買うから」とパッケージを開けてもらい、聞いてから買った。ショパンのテープをレジまで持ってきて「ショパンだったら買うから」っていうのも変な話だけどね。でも店員も店員で、さらっと受けるところを見ると、この手の事件は、結構起きているのかも知れない。恐るべし。
(第1回)
私はレモンティーが大好き。マレーシアに来て一番困ったのは、一般のカフェでまともなレモンティーが飲めないこと。と言うのも、多くのマレーシア人の認識に、レモンとライムの区別がないからだ。マレー語では、レモンもライムも“LIMAU(リマウ)” 一語。
コップに入った甘い紅茶に、半分に切ったライムをじゃぼん、じゃぼん(本当にこんな音がしそうなくらいおおざっぱなの)と入れ、スプーンでぐっちゃっんぐっちゃっんにかき混ぜて........とまあ、これがその辺のローカルカフェでの、ごく普通の“レモンティー”。レストランでも油断は禁物で、メニューにレモンティーとあったって、ライムシロップ入りのホットティーが出てくることがあるし、ひどいところになると、せっかくレモンスライスを浮かべておきながら、ご丁寧にライムシロップまで入ってる(大怒り)! 初めてこれらの、レモンティーとは言い難い飲み物に出会ったときの驚きと嘆きと憤りと言ったら! それからというもの何とか現地の人に、私の意味するところのレモンティーをわかって貰えるよう、百回注文したレモンティーに対して百回運ばれてくるライムティーに毎回文句をつけてから飲む(じゃ、飲むなよー)という、必死かつ無駄な努力は続いたのだった。で、一流ホテルのコーヒーハウスに行ってやっと、プレーンな紅茶にレモンスライスを添えた“正統派”レモンティーと出会えた。最初からこういうところに来ればよかったのね。
そもそもマレーシアでは、レモンは希少なものだったらしく、ライムの方が断然安価なので仕方がないといえば仕方がない。
乗務員訓練には、食品知識のお勉強もあるのだけど、先輩スチュワーデスの話によると彼女のクラスでは、教官が教室に入ってくるなり仁王立ちになって、
「みなさん、これがレモンです。」
と始めたんだそうだ。そう言えば機内にも1、2年前までライムシロップしかなくて、私も不本意ながらそれで“レモンスカッシュ”を作っていたのだ。私みたいなお客様、いなくて良かったなー。
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